こんにちは、しろです。
この記事では、複数のポケモンとの対戦を一括シミュレート出来るPvPokeの「Matrix Battle」の機能を使用して、リトレーンヤミラミをXL強化した際のメリットとデメリット、個体値厳選のポイントなどについて検討していきたいと思います。
この記事は以下のような人におすすめです!
- ヤミラミのアメXLが貯まってきたけど、どの個体を強化すればいいのかよく分からない
- ヤミラミをXL強化した際のメリットとデメリットを知りたい
なお、本記事ではPvPokeの使い方については詳細には触れませんので、PvPokeの使い方については以下の記事をご参照ください。
また、「Matrix Battle」の使い方については、この記事と同じアプローチでチャーレムの個体値厳選を検討した以下の記事をご参照ください。
この記事は以下の6部で構成されています。
- XL強化のメリット①:ブレイク(被ダメージの軽減)
- XL強化のメリット②:勝敗が入れ替わる(勝てるようになる)
- XL強化のデメリット①:勝敗が入れ替わる(勝てなくなる)
- XL強化のデメリット②:ブレイク(与ダメージの減少)
- XL強化のデメリット③:ゲージわざの同時発動で先攻を取れなくなる
- 特殊個体の個体値厳選の考え方
ヤミラミの特徴と厳選の意義
ヤミラミはあく・ゴーストタイプという珍しい組み合わせを持つポケモンで、弱点がフェアリーしかないことから、フェアリーやあく、ノーマルタイプ以外の幅広いポケモンと戦うことが出来ます。リトレーンでおんがえしを覚えるようになってからは、戦えるポケモンの範囲がさらに広くなりました。
ノーマルアタックの「シャドークロー」はダメージ効率(タイプ一致でDPT3.6)とゲージ増加量(EPT4.0)が共に高く、相手ポケモンに高ダメージを与えながらゲージわざのチャージも速いという点で非常に優秀なわざとなります。またゴーストタイプのわざということで、あく、ノーマルタイプ以外に等倍以上でダメージを与えることが出来ます。
スペシャルアタックの「イカサマ」(タイプ一致でDPE1.87)はあくタイプのわざですが、あく、かくとう、フェアリー以外には等倍以上でダメージを与えることが出来ます。ゲージ消費量が45なので、高回転でわざを撃てることも魅力です。
シャドウヤミラミの実装後はリトレーンすることで「おんがえし」を覚えることが出来るようになりました。おんがえしは非常に威力が高く(タイプ不一致でDPE1.86)、ノーマルタイプのわざなのでゴースト、いわ、はがねタイプ以外に等倍でダメージを与えることが出来ます。
以前はあくタイプと当たると打点がなくやられっぱなしでしたが、おんがえしを覚えることで一方的に不利だったあくタイプやマリルリに対してもおんがえしを撃つことである程度戦えるようになりました。
また運用面でも柔軟性があり、初手で出しても強いですが、裏に置いて引き先としての運用でも非常に優秀で、おんがえしを連打出来ればシールドアドバンテージを取れる場面も多くあります。
リトレーンヤミラミは弱点の少なさ、覚えるわざの威力とタイプ(通りの良さ)、ゲージの回転率、運用面での柔軟性などの面で、幅広い相手と戦える汎用性が高いポケモンと言えるでしょう。
リトレーンヤミラミは戦えるポケモンの範囲が広いので、どのように個体値厳選するか正解は一つではありません。パーティのコンセプト(構築)やパーティにおけるヤミラミの役割、初手に置くか引き先として裏に置くかなど、どのように運用していくかで適正な個体値が変わると思います。
汎用性が高いが故に、運用方法に応じた個体値厳選を行うことが重要であると考えています。
シミュレーションの条件について
今回の検証におけるシミュレータの設定と、検証用の個体については以下の通りです。
シミュレータの設定
PvPokeでのシミュレーションは以下の設定で行いました。
- シールド2枚同士
- 初手対面
- 最速打ち(CCTなし)※CCTありの場合は都度記載しています
- ブラフなし
- 対戦相手のポケモンは個体値ランク1位(ヤミラミのみ15-15-15(PL41))
検証用のヤミラミの個体値
「おんがえし」を覚えているリトレーンヤミラミの個体値は、自力リトレーンで最低2-2-2以上、特別な交換で最低1-1-1以上となりますが、1交換での厳選は現実的にハードルが高いため、今回は自力リトレーンで全体23位の個体2-15-15(PL48)と、XL強化なしの個体値15-15-15(PL41)のヤミラミを検証の対象としました。
ランク | 個体値 | CP | PL | 攻撃値 | 防御値 | HP |
1,641 | 15-15-15 | 1,494 | 41 | 124.07 | 120.09 | 120 |
23 | 2-15-15 | 1,493 | 48 | 118.73 | 125.38 | 126 |
それでは、XL強化のメリットとデメリット、厳選のポイントを以下見ていきたいと思います。
ブレイク(被ダメージが軽減する)【メリット①】
15-15-15の個体と2-15-15の個体を比較して、相手ポケモンのノーマルアタックで受けるダメージのブレイクポイントが存在する主な相手ポケモンを抽出したのが以下の表になります。
【表①】ブレイクポイント(被ダメージ)のシミュレーション結果
上段が15-15-15(PL41)、下段が2-15-15(PL48)の個体です。
【表の見方】
ブレイクポイント(被ダメージ):ヤミラミが相手ポケモンのノーマルアタック1回で受けるダメージ
勝敗スコア:0~1,000の範囲で勝敗が数値化されています。500未満で負け、500以上で勝ち。数字が小さい(数字の背景が紫寄り)ほど負け幅が大きく、数字が大きい(数字の背景が青寄り)ほど勝ち幅が大きいという読み方になります。
トリデプス
2-15-15のヤミラミは、XL強化されたトリデプス1位個体(0-15-14)からのうちおとすのダメージを7から6に軽減できるため、15-15-15の個体に比べるとかなり善戦することが出来ます。
※XL強化前のトリデプス(12-15-15など)からのうちおとすのダメージはブレイクせず7となります。
CCTありの場合は5発目のイカサマが間に合うため、シールド2枚同士なら突破することが出来ますが、プレイングスキル次第のところがあります。また、対戦相手のトリデプスがXL強化されているかどうか実際の対戦ではすぐに判断出来ないため、基本的には出し負けと考えてよいと思います。
しかし、XL強化することで突破出来る可能性も含め善戦できるようになった点はメリットとして大きいと思います。
↓シールド2枚、CCTありだと2-15-15のヤミラミが勝つ
エアームド
2-15-15のヤミラミは、エアームド(1位個体)からのエアスラッシュのダメージを7から6に軽減できます。
Matrix BattleではCCTありの一括シミュレートが出来ないので表①では対エアームドは負けになっていますが、CCTありの場合はシールド2枚同士で2-15-15のヤミラミが勝ちます。CCTなしだと3発目のゴッドバードが間に合ってしまうので負けになります。実際の対戦ではCCTを狙ってプレイしますので、よほどミスをしない限りヤミラミ側の出し勝ちと言えるでしょう。
↓シールド1枚、2枚同士いずれも2-15-15のヤミラミが勝つ
シールド1枚同士だと、15-15-15のヤミラミは2発目のゴッドバードを耐えられずエアームドに勝てませんが、2-15-15のヤミラミは2発目のゴッドバードを耐えられますので、勝つことができます。
↓15-15-15のヤミラミだと、シールド1枚同士の場合は負ける
ヤルキモノ
2-15-15のヤミラミは、ヤルキモノ(1位個体)からのカウンターのダメージを4から3に軽減できます。
カウンターのダメージが下がることで4発目のイカサマを撃てるようになるので、対面を取ることが出来るようになりました。
実戦でヤルキモノが初手で出てくるかというのはさておき、カウンターのダメージが3に下がることで、ゴーストタイプなのにカウンターとのしかかりで押し切られるという理不尽な状況が解消されます。
ラプラス
2-15-15のヤミラミは、ラプラス(1位個体)からのこおりのつぶてのダメージを7から6に軽減出来ます。
対ラプラスはシールド2枚同士だと3発目のなみのりで15-15-15ヤミラミ側が落ちますが、2-15-15のヤミラミだと3発目のなみのりを耐えて、おんがえしを撃つことが出来ます。
ラプラス対面はGBLではあまりないと思いますが、特殊ルールだと当たる可能性はあるので覚えておいて損はないと思います。
その他
2-15-15の個体だと、以下のポケモンからのわざ1の被ダメージが下がります。
- マリルリのあわのダメージ:5→4
- ナマズンからのマッドショットのダメージ:3→2
- タチフサグマのカウンターのダメージ:4→3
- シャドウウツボットのはっぱカッターのダメージ11→10
- スリーパーのねんりきのダメージ:5→4
- ブルンゲルのたたりめのダメージ5→4
- ゴーストのシャドークローのダメージ:7→6
マリルリ対面は嫌というほどよくあるので、あわのダメージを軽減出来ることで逆転出来る場面があるかも知れません。
勝敗が入れ替わる(勝てるようになる)【メリット②】
アメXLで強化することによって、XL強化前は勝てなかったポケモンに勝つことが出来るようになります。勝敗が入れ替わる主なポケモンについて、以下紹介していきます。
【表②】勝敗スコアのシミュレーション結果
ガラルマッギョ
15-15-15のヤミラミだとガラルマッギョのいわなだれ4発目で落ちますが、2-15-15だと4発目のいわなだれを耐えてイカサマを撃つことが出来るので対面を取ることが出来ます。シールドを使い切った後ガラルマッギョ側がじしんを撃ってきても耐えて、イカサマを撃って勝ちとなります。
↓ヤミラミ2-15-15ならシールド1枚同士、2枚同士で勝ち
↓ヤミラミ15-15-15だとシールド2枚同士では負け
初手ガラルマッギョで対面を取れるのはかなり大きなアドバンテージだと思います。
ラグラージ(シャドウ)
15-15-15のヤミラミだとシールド2枚を張った後の3発目のハイドロカノンで落ちますが、2-15-15だと3発目のハイドロカノンを耐えて3発目のイカサマを撃つことが出来るので、対面を取ることが出来ます。
チルタリス
15-15-15のヤミラミだと、お互いシールド2枚を使い切った後のおんがえしがギリギリ(1ターン)間に合いませんが、2-15-15だとりゅうのいぶきを2発分多く耐えられるのでおんがえしが間に合い、対面を取ることが出来ます。
ナットレイ
15-15-15のヤミラミだと3発目のパワーウィップを受けた後の残HPが足りずにタネマシンガンで落ちますが、2-15-15だとHPが増えた分でギリギリ耐えることが出来ます。
ヤルキモノ
「ブレイク(被ダメージが軽減する)」のパートで解説した通り、2-15-15のヤミラミなら勝つことが出来ます。
ラプラス
「ブレイク(被ダメージが軽減する)」のパートで解説した通り、2-15-15のヤミラミなら勝つことが出来ます。
トリデプス
「ブレイク(被ダメージが軽減する)」のパートで解説した通り、2-15-15のヤミラミでCCTありの場合は勝つことが出来ますが、プレイング次第となります。
勝敗が入れ替わる(勝てなくなる)【デメリット①】
XL強化することで、強化前は勝てていたポケモンに勝てなくなるケースがあります。主な原因は2つあり、①攻撃値が下がることでゲージわざの同時発動に勝てなくなるパターンと、②シャドークローの与ダメージが減ることで削り切れないパターンです。
【表③】勝敗スコアのシミュレーション結果
フシギバナ
次々項「ゲージわざ同時発動で負けるケースがある」で詳細に解説しています。
XL強化によりこちらのヤミラミの攻撃値が相手のフシギバナより低くなってしまうと、ゲージわざの同時発動で先攻を取れなくなるので、3発目のイカサマとハードプラントの同発で負けてしまいます。
ヤミラミ(ミラー)
こちらも次々項「ゲージわざ同時発動で負けるケースがある」で解説しています。
攻撃値を下げると相手のヤミラミがXL強化個体でない場合などはイカサマの同発で負けてしまうので、3発目のイカサマを先に撃たれて負けてしまいます。
ジャローダ
次項「ブレイク(与ダメージが減少する)」で解説しますが、シャドークローのダメージが下がることで3発目のイカサマを耐えられてしまうので、3発目のハードプラントを撃たれて2-15-15ヤミラミが落ちます。
ブレイク(与ダメージが減少する)【デメリット②】
15-15-15の個体と2-15-15の個体を比較して、シャドークローの与ダメージが減少するブレイクポイントが存在する主な相手ポケモンを抽出したのが以下の表です。
【表④-1】ブレイクポイント(与ダメージ)のシミュレーション結果①
表の見方:ヤミラミのノーマルアタック(シャドークロー)1回で相手ポケモンに与えるダメージ
【表④-2】 ブレイクポイント(与ダメージ)のシミュレーション結果②
ヤミラミの強さの一つとして、シャドークローの性能の高さが挙げられます。シャドークローのダメージが相手ポケモンにブレイクするかどうかは非常に重要ですので、チェックしておきたいと思います。
ブレイクポイントについては相手のポケモンの個体値次第のところはありますが、1位個体との対戦を想定しています。
ジャローダ
初手対面で見ると、シャドークローの与ダメージが下がることで勝敗が入れ替わるのはジャローダだけとなります。15-15-15のヤミラミだとシャドークローのダメージが5で、3発目のイカサマで勝てますが、2-15-15の個体だとシャドークローのダメージが4で、3発目のイカサマを耐えられてハードプラントで落とされてしまいます。
ラプラス
ラプラスについては先述しましたが、シャドークローのダメージが1下がっても3発目のなみのりを耐えておんがえしを撃てるようになるため、勝ちになります。
その他
上記以外の、シャドークローの与ダメージがブレイク(軽減)されるポケモンは以下の通りです。
- カイリキ―(シャドウ):8→7
- レジスチル:4→3
- ブラッキー:3→2
- ファイアロー:6→5
- ユキノオー:6→5
- ダーテング:5→4
- デンチュラ:7→6
- ドクロッグ:7→6
- デオキシス(ディフェンス):5→4
- フワライド:13→12
- アローラガラガラ:7→6
- ウツボット(シャドウ):8→7
表④-1、④-2から判断できるのは、シャドークローの与ダメージが下がっても、初手対面では大きなディスアドバンテージにはならないということです。
ブレイクポイントを突破されてシャドークローの与ダメージが下がっても、ゴーストやエスパータイプには圧倒的な出し勝ちになりますし、あくタイプのブラッキーやダーテングには大きく出し負けとなることに変わりありません。
際どいのは15-15-15でも2-15-15でもギリギリの勝負となるレジスチルとシャドウカイリキーで、初手ではない対面の場合はシャドークローの与ダメージが下がっていることで押し負ける場面があるかもしれません。
ゲージわざ同時発動で負けるケースがある【デメリット③】
ゲージわざが同時発動した際は攻撃値が高い方が先攻となりますが、XL強化することによってヤミラミの攻撃値が下がると、それまで先攻を取れていたポケモンに対して先攻を取られるというマイナス面がありますので、チェックしていきたいと思います。
対戦相手のポケモンが個体値1位(ヤミラミのみ15-15-15(PL41)想定)だとして、15-15-15 の個体(攻撃力124.07)だと先攻を取れるものの、2-15-15の個体 (攻撃力118.73) だと先攻を取れないケースをピックアップしました。スーパーリーグのトップメタでは以下の8匹となります。
【表⑤】自分のヤミラミと相手ポケモンの攻撃値の差
上記の表⑤では相手のポケモンが個体値1位の場合の、自分のヤミラミとの攻撃値の差が表示されています。
実戦において同発で先攻を取れるかどうかを検証するには、相手のポケモンが1位以外の場合も想定した方がより現実的だと思いますので、相手のポケモンの個体値が1位から100位までの間である(100位以内)という前提の下、次の表を作成しました。
【表⑥】相手ポケモン(個体値100位以内)の攻撃値の範囲①
*ヤミラミの攻撃力125.24は、「キラ交換個体のうち、最も攻撃力が高い(12-12-12以上)」個体のものです。
**ミュウは100位以内ではなく、216通りすべての個体をグラフ表示の対象としました。
※個体値の順位(ランク)はStadium Gamingの個体値ランクチェッカーを使用しています。個体値の順位は世界共通なので、SCPランクと同じ順位となります。
【表の見方】
青色の横棒は各ポケモンの個体値ランク100位以内の個体の攻撃値の範囲を示しています。例えば100位以内のフシギバナで攻撃値が最も高いのは123.26(70、81、86、96位)で、最も低いのは120.36(64、65位)なので、対戦相手が100位以内で個体値厳選している場合は、攻撃値120.36以上123.26以下が攻撃値の範囲となります。
表⑤の対戦スコアで分かるように、初手対面での勝敗に直接的に係わるのは相手がフシギバナの場合と、ヤミラミの場合です。
それでは、以下個別に見ていきたいと思います。
フシギバナ
初手フシギバナ対面は、つるのムチとシャドークローのチャージ効率、ハードプラントとイカサマの必要エネルギー量ともに同じなので、ゲージわざ同時発動で先攻を取れる側が勝ちます。
これはかなり重要なポイントで、個体値15-15-15なら出し勝ち、2-15-15なら出し負けとなり、ゲームプランが大きく変わることになります。
対戦相手(フシギバナ側)からすれば、出し勝ちなのか出し負けなのかは1発目のゲージわざを撃つまで分かりませんが、こちら(ヤミラミ側)は試合が始まってすぐに判断出来ますので、2-15-15の個体を使っている場合は先に動いていって逆転を狙うという行動になると思います。
ヤミラミ(ミラー)
ヤミラミミラーの場合は、相手のヤミラミがどの程度XL強化されているかが不明なため、1発目のイカサマを撃つまで先攻を取れるか判断できません。
表⑥では相手のヤミラミの攻撃値が118.73から125.24の間であると想定しています。
118.73は2-15-15(PL48)の攻撃力です。15-15-15(PL41)の攻撃力は124.07ですが、15-15-14(PL41.5)や15-14-15(PL41.5)のように1回XL強化された個体だと攻撃力は124.46となります。また、実戦で採用されている中で最も攻撃力が高いと想定されるのは、「キラ交換したリトレーンヤミラミ」で、そのうち15-12-13(PL42.5)や15-13-12(PL42.5)の攻撃力が最も高く、125.24となります。
こちらのヤミラミが2-15-15寄りの攻撃値を下げたXL強化個体の場合は、同発で先攻を取られる可能性が高いので、交代のタイミングなどゲームプランを練っておく必要があります。
ラグラージ
初手対面だと最速撃ちの場合はゲージわざ同発はありませんが、試合が進んでいく中ではよくある対面なので、同発で勝てるかどうかで試合結果が変わる場面は多々あります。
ペリッパー
ラグラージ同様、初手対面で最速撃ちならゲージわざ同発はありませんが、ペリッパー側はゲージをある程度溜めてから撃つ場合が多いと思いますので、同発を意識する対面です。
メルメタル
ヤミラミのイカサマよりメルメタルのいわなだれの方が溜まるのが早いので、初手対面最速撃ちなら同発はありません。
ユキメノコ
フシギバナと同じく、シャドークローとこなゆきのチャージ効率、イカサマとゆきなだれの必要エネルギー量とも同じため、完全同発となります。
初手ヤミラミvs.ユキメノコの場合は普通はユキメノコ側が即交代すると思いますが、仮に突っ張ってきた場合は2-15-15のヤミラミが同発後攻となります。
ファイアロー
やきつくすとシャドークローの場合だとゲージわざが同発になることはあまりないと思いますが、2-15-15の個体だと先攻を取られます。
ミュウ
ユキメノコ同様、ミュウ側が即交代すると思いますが、仮に突っ張ってきたとしてミュウがワイルドボルトを撃つ場合は、2-15-15のヤミラミが同発後攻になります。
XL強化によってヤミラミの攻撃値が下がることで、同発で負けてしまうようになるポケモンについて個別に見てきましたが、初手で勝ち負けがひっくり返るのはフシギバナとヤミラミミラー対面のみとなっています。
特殊個体の個体値厳選の考え方
それではどういった個体値のヤミラミを採用すればよいのか?という話になりますが、本記事の導入パートで述べたように、運用方法に応じた個体値厳選を行うことが重要となります。
現実問題としてヤミラミ1匹フル強化分のアメXLを貯めるには膨大な時間と労力がかかりますので、軽率に「この個体をおススメします」とは言いづらいところですが、例えば「初手で運用して、初手フシギバナには絶対同発で負けたくない」というこだわりがある方であれば以下のような厳選方法が考えられます。
対フシギバナの同時発動で勝てる個体(初手運用)
初手で個体値ランク100位以内のフシギバナ対面になったときに、ゲージわざの同時発動で必ず先攻を取れる個体を考えてみます。
ランク100位以内で一番攻撃力が高いフシギバナは、以下の4通りの個体となります。
ランク | 個体値 | 攻撃値 | 防御値 | HP |
70 | 1-7-7 | 123.26 | 121.40 | 122 |
81 | 1-10-4 | 123.26 | 123.26 | 120 |
86 | 1-2-12 | 123.26 | 118.31 | 125 |
96 | 1-5-9 | 123.26 | 120.16 | 123 |
PvPokeで1-7-7のフシギバナを対戦相手に選びシミュレートすると、結果画面に”Charged Move Ties”という項目が表示されます。これは、1-7-7のフシギバナに対して必要なヤミラミ側の攻撃力は123.26超ですよ、という風に読みます。
攻撃力が123.26を超える個体のうち、最も良いヤミラミの個体は8-13-8(PL47.5、攻撃力123.34)というのがシミュレーション結果です。
先のグラフ(表⑥)に上記の個体を追加したのが以下の表となります。
【表⑦】相手ポケモン(個体値100位以内)の攻撃値の範囲②
8-13-8の個体だと、100位以内のフシギバナの同発で先攻を取れる他、攻撃力が高めの一部個体を除いて、100位以内のラグラージ、ペリッパー、ユキメノコに対しても先攻を取れる可能性が高いです。
「多くのプレイヤーが個体値厳選でランク100位以内の個体を使っている」という前提を置いての厳選方法となります。
特殊個体の長所と短所
8-13-8のヤミラミは初手フシギバナ(ランク100位以内)に対して確実に同発先攻を取れる個体ですが、XL強化前の15-15-15の個体及びXL強化された2-15-15の個体と比較して、どのような長所と短所があるのか、チェックしておきたいと思います。
ランク | 個体値 | CP | PL | 攻撃値 | 防御値 | HP |
1,641 | 15-15-15 | 1,494 | 41 | 124.07 | 120.09 | 120 |
23 | 2-15-15 | 1,493 | 48 | 118.73 | 125.38 | 126 |
539 | 8-13-8 | 1,500 | 47.5 | 123.34 | 123.34 | 120 |
以下は、①15-15-15、②2-15-15、③8-13-8の3つの個体について、これまで見てきたメリットとデメリットの項目について比較表としてまとめたものです。
ブレイク(被ダメージの軽減)について
8-13-8の個体だと、ヤルキモノのカウンターで受けるダメージが4になります。
15-15-15 PL41 | 2-15-15 PL48 | 8-13-8 PL47.5 | |
トリデプスの うちおとす | 7 | 6 | 6 |
エアームドの エアスラッシュ | 7 | 6 | 6 |
ヤルキモノの カウンター | 4 | 3 | 4 |
ラプラスの こおりのつぶて | 7 | 6 | 6 |
勝敗が入れ替わる(勝てるようになる)について
2-15-15の個体だと勝てるポケモンについて、8-13-8の個体だとナットレイ以外には勝てなくなります。トリデプスはCCTありでドローとなります。
15-15-15 PL41 | 2-15-15 PL48 | 8-13-8 PL47.5 | |
ガラル マッギョ | × | ○ | × |
シャドウ ラグラージ | × | ○ | × |
チルタリス | × | ○ | × |
ナットレイ | × | ○ | ○ |
ヤルキモノ | × | ○ | × |
ラプラス | × | ○ | × |
トリデプス | × | ○* | △* |
勝敗が入れ替わる(勝てなくなる)について
8-13-8の個体を採用することで、初手フシギバナの同発に勝てるようになります。
15-15-15 PL41 | 2-15-15 PL48 | 8-13-8 PL47.5 | |
フシギバナ | ○ | × | ○ |
ヤミラミ | △* | × | × |
ジャローダ | ○ | × | × |
ブレイク(与ダメージの減少)について
ジャローダに対してはシャドークローの与ダメージが4となり、初手対面では負けとなります。
15-15-15 PL41 | 2-15-15 PL48 | 8-13-8 PL47.5 | |
ツタージャへの シャドークロー | 5 | 4 | 4 |
特殊個体の条件設定と調べ方(みんポケ)
8-13-8という個体値はPvPokeのシミュレート結果で出たものですが、PvPokeでは1位の個体しか表示されません。「100位以内のフシギバナに同発先攻を取れる個体(攻撃値が123.26超)」は実際にはたくさんの組み合わせ(2,366通り)があります。
一定の条件を満たすポケモンの個体値についてはみんポケ・個体値ランクチェッカー(研究用)で簡単に調べることが出来ます。また、自分の持っている個体がブレイクなどの条件に該当するかどうかは、PvPokeに自分のヤミラミの個体値を入力してシミュレートすることでもチェック出来ます。
攻撃値が123.26を超えるヤミラミのうち、ランク(SCP)が上位の個体(5位まで抜粋)
順位 | ランク | 個体値 | 攻撃値 | 防御値 | HP | PL |
1 | 539 | 8-13-8 | 123.34 | 123.34 | 120 | 47.5 |
2 | 590 | 8-8-13 | 123.34 | 119.20 | 124 | 47.5 |
3 | 600 | 8-14-7 | 123.34 | 124.17 | 119 | 47.5 |
4 | 632 | 6-9-7 | 123.52 | 121.84 | 121 | 50 |
5 | 633 | 8-9-12 | 123.34 | 120.03 | 123 | 47.5 |
この記事を読んでいただいている方の多くはみんポケバトルシミュレータを使用したことがあると思いますので、今回PvPokeでの調べ方と併記してみました。
以上、特殊個体の個体値厳選について考察しましたが、特殊個体についてはどのような個体でも一長一短がありますので、それらを把握した上で実戦で運用することをおすすめします。
まとめ
この記事の前半パートでは、アメXLでリトレーンヤミラミを強化するメリットとデメリットについて、PvPokeによるシミュレーションの結果に基づいて検証を行いました。
XL強化をすると攻撃値が下がり防御値とHPが上がるため、ブレイクによって被ダメージが軽減されたり、勝てなかったポケモンに勝てるようになるなど、耐久が上がることで生じる影響がメリットとなります。逆に、与ダメージがブレイクされて下がったり、ゲージわざの同時発動で先攻を取れなくなるなど、攻撃力が下がることで生じる影響がデメリットとなります。
記事の後半パートではどのような個体を強化すればよいのかについて、特殊個体の個体値厳選を通して検証を行いましたが、特定の条件を満たしつつ目一杯XL強化するというのがポイントとなります。
リトレーンヤミラミの強さの本質は「幅広いポケモンと戦える汎用性の高さ」にありますので、その汎用性をより高める方向でXL強化をするのが育成方法としてはベストではないかと個人的には考えています。
本記事で検証用として取り上げた2-15-15(PL48)の個体は、攻撃値が低くなることで一部のポケモンに対してゲージわざの同時発動で負けたり、シャドークローのブレイクポイントを突破されたりしますが、耐久が上がることでXL強化前のヤミラミでは勝てなかった複数のポケモンに勝てるようになるという明確なメリットがあるため、育成する価値は十分にあると思います。
繰り返しになりますが、リトレーンヤミラミは汎用性が高く戦えるポケモンの範囲が広いため、どのように個体値厳選するか正解は一つではありません。パーティの構築やパーティにおけるヤミラミの役割、初手に置くか引き先として裏に置くかなど、どのように運用していくかで適正な個体値が変わってきます。
汎用性が高いが故に、運用方法に応じた個体値厳選を行うことが重要ですので、まずは自分のアイデアに沿う個体値を把握することから始めましょう。
PvPokeの「Matrix Battle」では自分が持っているヤミラミの個体について、ブレイクポイントや対戦結果などを一括してシミュレートすることが出来ますので、是非活用してみてください。
以上、PvPokeを使ってリトレーンヤミラミの個体値厳選について検討してみましたが、いかがだったでしょうか。長文となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!